出生図(ネイタルチャート)の土星の分析の例①

占星術

土星のキーワードは、成長・安定のための試練・課題です。
幼少期から青年期にかけては、この土星が自分を外側から守ってくれるものにもなれば、逆に自分自身を閉じ込めるものにもなります。

出生図における土星のアスペクトが吉角(イージー・アスペクト)の人であれば、土星は自分を守ってくれるものに感じやすいでしょう。
勉強や習い事ばかりさせられて遊ぶ時間は少ないけれど、数年たって振り返ってみると子供の頃の努力が今の成功に繋がっている、ということがあまり抵抗なく受け入れられることが多いのではないでしょうか。
あるいは、生まれながらにある制限が恩恵をもたらしているというパターン(土星と木星の吉角など)もあります。

逆に、土星が凶角(ハード・アスペクト)になっている人の場合、努力して安定を図ろうとする心理や行動が多いでしょう。
吉角の場合は自分が努力しなくてもなぜかその方向へ流されるように進んでいきますが、凶角の場合だと「何か他のことを中断して」あるいは「一方を諦めて」といったような、痛みを伴いながら土星の試練をこなしていく傾向が高まります。

 

 

私の父は出生図に牡羊座水星と山羊座土星の90度(スクエア)となっています。
父は、当時では珍しかった高校卒業の学歴で大企業の管理職になったという経歴があります。
付け加えると、蟹座火星は山羊座土星と180度(オポジション)なので、昇進には自分以外の権力者からの引き上げ(当時の父の上司)があったというわけです。
そして、人生全体の統括をする太陽と土星は120度なので、父にとってはサラリーマン生活が他の職業と比べて合っていた(自然な流れだった)ためか、今もずっと企業勤めをしています。

私の場合は、太陽と土星が合なので「自分で道を作って進むか、自分をより大きな組織や集団の一部の中に埋めてしまうか」という葛藤があります。
本来ならば、父(土星の投影)に倣って会社員の道に進むのが自然に思えるのですが、私の場合は土星に30度※で海王星がアスペクト(海王星を先行して使うことが土星を機能させる条件)しており、さらに水星に天王星が0度で天秤座火星・水瓶座木星とも吉角でどうして一見独創的な生き方(天王星・海王星的な視点で見れば全体性の中にいるのですが土星から見ると逸脱して見える)に流されていく傾向が強いです。

※30度アスペクトに関する、分かりやすい石井ゆかりさんのnote記事(クリックで開きます)

 

土星と太陽だけみれば、私も父と同じように普通の社会人そのものとして生きていけそうな配置に見えるのですが、他の個人天体、金星と水星に土星以遠の影響が出る天王星や冥王星が0度で重なっているので、考え方や感じ方といった社会生活において情報の伝達や人間関係の構築の仕方に必要な要素が土星の常識を思いっきり破って出ていってしまうわけです。

一見して、自分の出生図の土星や個人天体に土星以遠の天体のメジャーアスペクトがないと思っても、マイナーアスペクトを探してみると「実はしっかり繋がっていた」という場合もよくあります。
文豪の太宰治の出生図には土星と天王星の90度が元からありますが、マイナーアスペクトも見なければ水星も天王星と150度であることが分かりません。

土星の働きを理解する際には直接的な関係だけでなく、間接的に関わる天体を見ることで具体的な全体図が見えてきます。そして、土星が上手く働いていないと感じる時は土星以遠の天王星・海王星・冥王星のアスペクトがどうなっているか確認してみると良いでしょう。

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