宮木あや子さんの小説とホロスコープから考察する、土星・金星・火星のアスペクトの例

占星術

今回の記事は、出生ホロスコープに獅子座土星と射手座金星の120度アスペクトと、土星と蠍座の火星で90度アスペクトをお持ちである宮木あや子さんの著書『喉の奥なら傷ついてもばれない』の内容から、不倫や結婚に関する女性の葛藤について考察を行ったものです。

喉の奥なら傷ついてもばれない

内容は簡単にいうと欲求不満を抱えた人妻たちの物語の短編集となっており、ひとつひとつの話自体は現実にもよくありそうな女と男の欲望が招く不幸な話が綴られています。

松村潔先生いわく、作家のホロスコープの特徴は作品に表れるとのことですが、今回の宮木あや子さんの小説は金星と土星のアスペクトを具体的なイメージで捉えられる分かりやすい例だと思います。

女性が結婚することは、金星の象徴である魅力的な女性と社会的な制約である土星が結びつくこと(アスペクトする)と同じ意味と考えられます。もし、金星と土星のアスペクトがハードならば結婚のために女性的なものを犠牲にする状況が起きやすいかもしれません。

こちらの画像は宮木あや子さんのチャート図です。ネット上に公開されていた生年月日を元に作成させていただきました。時間は分からないのでソーラーサインハウスチャートで出しています。

宮木あや子さんの描く女性は金星と土星の120度なので土星を使って自分の人生を安定させることが自然と出来てしまう、強かな金星と言えます。土星と金星のソフトアスペクトの雰囲気は、男性の目にはしっかり者で結婚後も安心できる理想的な女性に映るでしょう。

小説の中の人物たちも夫婦関係は良く生活レベルも中の上ぐらいの暮らしをしていて、いずれも「自由ではないにしろ、安全ではある」という生き方をしています。けれど、彼女たちはそんな生活でも埋められない何かを埋めようと不倫をするのです。それはチャート図で見ると土星と火星のスクエアで表れているのが分かります。

金星が自分の楽しみを程々にする約束をする(家庭に入る・貞節を守る)ことと引き換えに社会的な立場を安定させる土星的な制約(結婚)を承諾した後で、火星からの誘惑や葛藤(不倫)が起きている。

金星である女性は結婚をしたかったのか、自由に生きたいだけだったのかが分からなくなっているのです。結婚をする前は夫も女性にとっては自由や可能性(火星)の象徴でした。しかし、土星(制約・安定)によって火星は力を抑えられ(90度アスペクト)、妻は家庭の中で大人しく快適に過ごしながらも(金星と土星の120度)、外の世界に目を向けることを許さない土星(普通の暮らし)のことを鬱陶しいと感じるのです。

この小説の中に「では、妻(土星と結婚した金星)はどうあるべきか」などの明確な正解は提示されていません。
何事もなかったかのように日常に戻ることを選ぶ妻もいれば、自分の心を制御しきれなくなって何もかも崩壊させてしまったり、我が子に自分の問題を投影して過去のトラウマから逃げ続ける母親など、結末は様々です。

今回この記事では全ての天体との関連について詳しく書ききれませんが、宮木あや子さんのホロスコープには月と冥王星の180度アスペクトもあります。
本の中に二話、娘を虐待する母親の話があるのですが、この話は本全体の始まりと終わりに配置されており、これが何とも言えない不穏さを感じさせます。

これらの物語の中で正解に近いものを選ぶとしたら、自分のズルさや弱さを知ったうえで強かに生きようとする人物こそ、あるいはと言えるかもしれません。
何事も自分のことをよく観察し理解してから結論を出せば、少なくとも混乱した生き方からは抜け出せます。上手く行かない人生とは、自分の心を誤解したまま生きている人生と言えるのです。

 

私がこの作品集の中で一番好きなのは『肌蕾』です。しかし、女を生業とする女性が純潔に憧れる『金色』も、ないものねだりに気付けずに人並みの幸せが崩壊していく『指と首、隠れたところ』も好きで、同じ女性だからこそ共感できる性の暗さや悲しさが全部ひっくるめて愛おしくなる、怖いけど素敵な話なんですよね。
一番スッキリとした結末なのは『肌蕾』ですが、女性の一番現実的で狡いところが描かれているのはこの話だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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