中原中也のホロスコープ

占星術

山羊座(世の中)の変革を詠った牡羊&牡牛座(直感・感覚)の詩人

詩を声に出して読んでみると
並べられた言葉のリズムやメロディの美しさに感動させられます。

特に自分が気に入っている詩であれば、その感動は時に官能的でさえあります。

私も、彼の詩を好きな人間の一人です。
廃墟の写真集を眺めているような、退廃的な美しさを感じさせる彼の詩が好きなのです。
それでいて、廃墟を取材した本人がそのまま廃墟に取り込まれて、帰ってこれなくなってしまったかのような
行き過ぎたジャーナリズム(詩人)精神を感じさせる中原中也本人の危うさも好きです。

詩人の中原中也は、明治から昭和初期にかけて活動していた詩人であり
学校教育の教科書にも出てきます。
(写真がとってもイケメンだが、沖田総司と同じように「実際の顔とは違う」議論があるとかないとか)

そして令和の今や、怪物と戦って歌って踊れるスーパーイケメン詩人にもなりつつあります…

今回はそんな中原中也のホロスコープを見ていきたいと思います。

中原中也
1907年の4月29日生まれ
出生地は山口県

太陽:牡牛座7度
月:蠍座(この日は何時生まれでも蠍座になります)
水星:牡羊座14度
金星:牡羊座1度
火星:山羊座11度
木星:蟹座6度
土星:魚座23度
天王星:山羊座12度(逆行)
海王星:蟹座10度
冥王星:双子座22度

牡牛座の太陽で、月が蠍座の組み合わせ。
月の度数が不明なので正確な意味での180度ではありませんが、
サインだけでみるとオポジションです。

太陽と月が180度の人物の心境でよく見かけられるパターンとしては、
生まれ持ったものや周囲の期待(月)と魂の喜びを感じるもの(太陽)が噛み合わない
というものです。

中也が我が子を亡くし、神経衰弱にかかって入院していた時に書いた
「泣くな心」という詩があるのですが、
その詩の中では彼の母親に対する、長年の罪悪感のような気持ちが綴られています。

私は十七で都会の中に出て来た。
私は何も出来ないわけではなかった。
しかし私に出来るたった一つの仕事は、
あまり低俗向ではなかった。

誰しも後戻りしようと願う者はあるまい、
そこで運を天に任せて、益々(ますます)自分で出来るだけのことをした。
そうして十数年の歳月が過ぎた。
母はただ独りで郷(くに)で気を揉んでいた。

私はそれを気の毒だと思った。
しかしそれをどうすることも出来なかった。
私自身もそれで気を揉む時もあった。
そのために友達を会ってても急に気がその方に移ることもあった。



『泣くな心』中原中也


中也はもともと医者の家の生まれで学業も優秀で、将来を期待されていた子供でした。
しかし、周囲の期待を裏切り文学の世界に没頭したことで成績を悪くし、
学校を落第した後にやがて詩人となりました。

月は、幼少期・大衆性や母親などを象徴します。
彼は、月の思惑とは正反対(オポジション)の生き方を選んだというわけなのです。


中也が山口から京都の学校へ編入した頃の大正時代は、
ちょうど以前の日本から大きく変わっていく転換期にありました。

その頃、特にダダイズムという芸術思想が注目されており
中也もその辺りでダダイズムに大きな影響を受けます。

ダダイズムとは、簡単に言うと
「既成の秩序と常識を否定することによる抑圧からの解放」
という思想を持っています。
この思想が生まれる元となったのは第一次世界大戦で、
戦争における人々の暗い体験が影響していると言われています。

中原中也は水星と火星・天王星が90度のアスペクトを持っていて、
予期せぬ方向からの変化に巻き込まれ、神経や言葉にその影響が表れる
ことを示しています。

水星は牡羊座にあり、自由闊達で好奇心旺盛、鋭い知性を表します。
対する火星・天王星は山羊座にあり、社会の封建的制度・権力主義に変化をもたらそうとしている抑えがたいエネルギーを象徴しているようです。
(ダダイズムに通じる部分はこの辺りにあるのかもしれません。)

また、彼は若いころから親しい人達と死に別れていますが
蟹座の海王星が個人天体にアスペクトしていることが関係しているのだと思われます。

海王星のある蟹座11度サビアンシンボルは「道化が有名人を風刺する」であり、
これも火星・天王星と同じく「無意識のパターン・抑圧からの解放」がテーマとなっています。

人生が波乱に満ちていた中原中也ですが、彼のホロスコープと人生を通して見えてくることは、世間の言うことや望まれていることだけが使命や生まれてきた目的とは限らない
と言うことです。

特にトランスサタニアン天体が個人天体に強く関わっていればいる程、この傾向は分かりやすく出るようです。



今ではすっかり有名人になり過ぎて、アニメやゲームで斜め上方向の活躍をさせられている中原中也ですが(時代が彼に追いついた?)
近代化と目に見えない世界からの波に翻弄された詩人の等身大の姿が、ホロスコープを通して感じられたような気がします。


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