ハウス支配星と支配星が在室するサインの関係

占星術
まずはテンプレートで考えて、支配星の性質を簡単に理解してみる

 

ホロスコープチャートを個人の実感に沿って読み進めていくためには、どうしても教科書通りの解釈から離れて読む工夫が必要になってきます。(って、これ何回も言ってたらスミマセン)

しかし、基本の意味を覚える(慣れる)という意味では、まず教科書のことを暗記してしまうことにも意味がありますし、読み方に迷ったときはいったん、一番単純で分かりやすいチャートの状態に惑星を一度当てはめなおしてから、支配星の在室サイン(および、ハウス)を追うとわかりやすくなると思います。

 

基本のチャートでは、火星のナチュラルハウスは1ハウスで、サインは牡羊座の状態となります。
1ハウスは、この世に生まれてくるときの衝動・パワーを表す場所なので、ここに火星があると「自分はこの世で力いっぱい生き抜いてやるぞ!やってやるぞ!」という衝動を十分に持っているということになります。自分から道を切り開きたいし、他人に強制されたり後から付いていくのもあんまり好きではないのです。
他人の目や細かいことは基本、気にしない。やりたいからやる!

 

 

火星をものすごく単純に説明するなら、行動力とその力の発揮の仕方です。
牡羊座だと、自分の直感で「なんとなく」の感覚で言葉になる前に行動してしまいます。理論は後から付いてくる、そんな感じです。
(この世で通用する言葉や理論は、牡羊座の精神性から見れば後付けで発生するものです。牡羊座の衝動のほうが純粋なものなのです。)

 

 

サインはそのままで、支配星だけ別のハウスに動かしてみる

 

では、ここで火星をナチュラルハウスである1ハウスから3ハウスに移して読んでみます。
1ハウスの意味はそのまま、本来の火星の意味とほぼ同じで「自分というものの表現の仕方やその衝動」を表します。サインもまだ変わっていないので、牡羊座の直感を前面に行動をする傾向がある、と読んでおきます。

 

その火星が3ハウスに移ると、どうなるか。
1ハウスで使うはずだった火星の行動力を、3ハウスで発揮する、ということは
1ハウスだけで達成するはずだった課題を、3ハウスにまで持ち込む、と読めます。
つまり、このチャートの人物像的には、自分がこの世界で行動するときの最初の動き、スイッチとなる動作が3ハウスで開発されたり、多く関わっていくことになるのです。

 

具体的な言葉で説明するなら、自分の行動力を引き出すためには、3ハウス的なキーワードである“日常の会話や、ちょっとした周囲の変化、身の回りで起こる物事”に目を向ける必要性が出てきそうだ、と表現できます。
人によって、それは日記をつけることだったり、日常をテーマにした創作をしてみることだったり、近所で出来そうなことは何でもやってみる、ということであったりします。3ハウスでそういうことを繰り返しているうちに、「自分はこういう風にやっていく」というスタイルが出来上がるのです。

 

ちなみに、火星が7ハウスに在室すれば、他者との対話を通して自分のスタイルを探っていくことになりますし、8ハウスに在室すれば、人との深い関わりを通して自分が生まれ変わっていく経験をしていくことで自分らしさが作り出されていきます。

 

さらに応用(というかこれが普通のチャート)、支配星もハウスもサインも動かしてみる

 

今度は、1ハウスを天秤座のサインに変更し、火星はそのまま1ハウスに置いておきます。
西洋占星術のチャートは360度の円形になっているので、180度反対側は対向サインになります。
ということで、天秤座の対向サインは先ほどの牡羊座。
基本のチャートとはくるっと反転したこのホロスコープチャートで考えていきましょう。

 

まず、7ハウスの牡羊座サインという象徴から考えていきます。
7ハウスは自分以外の人を知る、つまり他人と出会うハウスです。
基本のチャートで考えると、本来は天秤座サインで支配星は金星です。
金星は、感受性を表します。
物事を体験して「嬉しい」とか「楽しい」とかの感想を言うほうが、金星。
物事を体験するために行動するのは、先ほど1ハウスの例で出てきた火星です。
火星が能動、金星が受動となります。

 

金星は7ハウスにあることが基本なので、本来は「人と交流するのは楽しみを得るため」と感じるのが7ハウスの自然な状態です。
天秤座サインなので、対等・平等の関係を築ける、良い意味での距離感の持てる相手との交流を喜びます。

 

1ハウスと7ハウス・牡羊座と天秤座の180度の関係はセットで、火星は金星の満足のために行動しますし、金星は火星を使って満足を得ようとします。
基本形のチャートで説明するなら、1ハウスの牡羊座の火星で自分を高めて、自分のやりたいことをどんどんやって、そうやって7ハウスで出会った人達と楽しく遊んだりするのが金星なのです。

 

通常、ホロスコープチャートで金星と火星は恋愛運を見るときにそれぞれ好みの女性や好みの男性としてイメージされますが、自分の内面を外の出来事として読んだ場合、そういう解釈になります。(投影のまま惑星のパワーを出すなら、この読み方もアリっちゃアリ。でもやはり、自分の内面なのでいつかは自分で対処する時期が来るんですが…)

 

では、次に牡羊座サインの意味も付け加えて考えていきます。
7ハウスが牡羊座的、ということは、「自分の直感を信じてガンガン行こうぜ」という7ハウスになります。本人が他人や環境に自分の7ハウスを投影している間は、この7ハウスは「自分のやりたいことを考えるまでもなくやってしまう人物となぜか縁が多い」という形で現れたり、「自分が相手に気を遣い過ぎる」という経験で現れたりします。

 

 

しかし、ここで素直に7ハウスに火星があれば「人と交流するときは直感でガンガン行く」のままで済んだのですが、この7ハウスの支配星である火星が1ハウスに在室しているため、もう少し話がややこしくなります。

 

1ハウスに7ハウスの支配星があるということは、本来の7ハウスらしさを発揮するために1ハウスのテーマである「自分らしいスタイル」を確立する必要があります。
本来の1ハウスサインの牡羊座なら「自分の内側から湧いてきた衝動を繰り返す」ことで1ハウステーマは進んでいきますが、天秤座はその真逆で「他人や周囲の反応を見て自分の行動を調整する」ことを繰り返すことになります。

 

喧嘩中のカップル

 

天秤座サインにはバランス感覚・交渉能力というキーワードがありますが、「無制限に誰とでも合わせられる」わけではありません。
他人に合わせて行動を変えても苦にならないのは、柔軟のサインである双子座・乙女座・射手座・魚座になり、天秤座は周囲を気にしながらも、自ら動きながら納得して考えていく活動のサインです。

天秤座をわかりやすく感じるなら、単に判断基準の比重を“自分5:相手や周囲の反応5”にしているのが落ち着くという程度だと考えてもらったほうがいいかと思います。自分勝手さや好みを相手によって変化自在に変えてるのではなく、「他人や物事に対して、自分との距離感を平等(平等だとは言うけど、その平等さも結局自分の思う平等以上にはならない)にしたい」だけなのです。

 

というわけで、自分と他人(相手)が平等な感じになる為なら天秤座の火星は労力を惜しまない、ということになります。
こうして、1ハウスの自分スタイルが「自分の好みや直感に正直な人達と上手く交流する」ために作られていきます。人に容易に流されないための殻を作るイメージですね。

 

ここまで考えて、では、この自分の道をイケイケ!な感じな人達と上手く交流するために鍛えた火星は、次に何を目指せばいいのでしょうか?
先ほど対向サイン・ハウスの例であげましたが、基本的に火星は金星の満足感の為に動きます。
7ハウスには金星がないので、この場合は金星のあるハウスおよびサインに注目します。

 

例えば、金星が6ハウスに在室でサインが魚座であった場合を考えてみましょう。
火星で自分らしさを確立した後、この自分らしさで金星のある魚座サイン的な楽しみ・喜びを6ハウスという奉仕がテーマの場所で受け取る・発揮することになります。

 

魚座サインのキーワードは、夢や慈悲・どこまでも境界のない思想なので、天秤座の火星からすれば「せっかく人とちょうどいい距離感を掴んだのに、なぜ…!」という感じになってしまいますが(笑)
感受性がこのハウス・サインにある場合は、このちょっと合わせづらい性質(アスペクトだと150度の関係で、訓練が必要な意味に解釈されます)同士をなんとかするためにも、7ハウスの牡羊座的な人達(状況や環境)に揉まれ、1ハウスで自分にとってちょうどいい塩梅を探し、6ハウスで魚座サインの境界のなさに飲み込まれないようにするためなのかも?という解釈をしていけばいいんではないかと思います。

最終的な集合地点は太陽で、切羽詰まっているなら月で

ここまでで、基本的なキーワード+色々入れ替わったり移動しているときの読み方のコツを少しは説明できたかなぁ、と思います。


ただ、惑星とハウス・サインの数とその組み合わせが多い分、収拾をどこで付けたらいいのか迷いがちにはなります。読むのは楽しいけど、「で、結局どうしたらいいのか」という。

 

どうしたらいいのか、というより「どうしたらこの自分の特性を今やりたいこと・経験したいことに生かせるのか」で考えたほうが、予言的な占いとしての占星術にハマらないために良いと私は思っているのですが、「そうは言ってもそのやりたいことすら今はわからない」、「目の前の生活の為に今はそんなことを考えている余裕はない」という状況であれば、月やキロンを癒すことを優先してホロスコープを読まれるのがいいと思います。(月はインナーチャイルドのワークなどが出来る、カウンセリングやヒプノセラピーを受けられるのが近道だと思います。)

 

「いや、そこまで大変な状況ではないけれど、今のままだと人生このままでいいのかな、とか思ってしまう」ような状況であれば、太陽に他の惑星を集合させて発揮する形で読めば、目的意識が統一されるかと思います。
だけど、太陽の目的に行こうとして、まだ月や水星・金星などの経験が十分に終わっていない場合は「どうしてもそれ(惑星に関すること)が気になる」って状態になるので、いきなり太陽に目をわざと向けるという手も手っ取り早いですが、なぜそのテーマに戻されてしまうのかわかっていない場合はちょっと苦しかったりします。分かればそこまで打撃を受けることはないのですが^^;

 

西洋占星術は覚える言葉が多いので、まずそこをクリアすればあとは基本と応用とヒラメキで読むの繰り返しで、少しずつ自分のホロスコープチャートの意味や活用の仕方がジワジワ染み出してくるかと思います。スルメの様に。

 

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